便潜血検査は大腸がんを「見つけることもある」検査です。陰性だから大腸がんはないというわけではありません。また、陽性だから必ず大腸がんがあるというわけでもありません。
便潜血検査で陽性になるというのは、便に血液が混じっているということです。そして便に血液が混ざる病気は大腸がん以外にもたくさんあります。そこで、便潜血検査陽性となった場合、確定診断のために内視鏡検査を行います。実際に検査をしてみると大腸がんであることはむしろ少なく、頻度が高いのは痔などの疾患です。

食生活の欧米化などによって大腸がんが日本で増え続けており、がんによる死亡率でも女性では大腸がんが1位となっています。近い将来、男性のがんによる死亡率でも1位となると考えられています。便潜血検査は、精度が低いながらある程度の進行大腸がんを見つけることができるため、大腸がんの死亡率減少効果が実際にあることが実証されています。また、便を検査するだけですので簡単に行えますし、身体への負担もないことで大腸がん検診として行われているのです。
ただし便潜血検査で運良く見つけることができるのはほとんどが進行大腸がんです。治療のためには抗がん剤治療や手術による入院などが必要ですから、身体的、精神的、金銭的な負担が大きく、お仕事や生活自体にも大きな支障を及ぼします。

かなり進行して大きくなった大腸がんは、そこを硬い便が通過する際に擦れて傷つき、出血することがあります。便潜血検査で陽性となって、その後の内視鏡検査で大腸がんが見付かる場合のほとんどがこうした状態です。
大腸がんができたのが、軟らかい便の通る場所であれば擦れて出血が起こることがないため見逃してしまうことになります。また、まだ大腸がんが小さく、便の通過を邪魔しないサイズであれば出血が起こりません。ですから、陰性であっても大腸がんがないとは限らないのです。
大腸がん検診として便潜血検査が行われているため、「陰性だったから大丈夫」と考えてしまうのは、とても危険なことなのです。

大腸がんは、早期発見できれば内視鏡による切除で完治が望める病気です。また、前がん病変である大腸ポリープを切除することで、大腸がんの予防も可能です。そして、早期の大腸がんや前がん病変である大腸ポリープを発見できるのは内視鏡検査だけなのです。
大腸がんはかなり進行しないと自覚症状がほとんどないため、早期発見のためには定期的な内視鏡検査が不可欠です。そして、早期発見できれば内視鏡による日帰り手術で切除できますので、身体的、精神的、金銭的な負担を大幅に軽減できますし、お仕事や生活への影響もほとんどありません。

内視鏡検査は、検査を行う医師の経験や知識、最新機器の使用、前処置などへのきめ細かい配慮などによって驚くほど楽に受けられる検査です。当院での内視鏡検査では、口に合わない下剤を大量に飲まされる、挿入時に腸が押されて痛む、お腹が張る、検査時間が長いといったことはありません。
大腸がんは早期発見で完治が望める病気ですから、内視鏡検査を楽になれば早期発見に有効な定期的な検査も気軽に受けていただけます。当院では、楽に受けていただける内視鏡検査を導入することで、お一人でも多くの地域の方に大腸がんで外科的手術や抗がん剤などのつらい治療を受けることなく人生を過ごしていただきたいと考えて、さまざまな配慮を行っています。

楽に受けていただくための工夫

• 飲みやすい洗腸剤
• お一人おひとりに合わせた洗腸剤の量や飲み方の工夫
• 鎮静剤使用による、眠ったような状態での検査
• お腹の張りを大幅に軽減する炭酸ガス使用
• 解像度が高く、精度の高い検査が可能な最新機器
• 洗練された検査手法の導入
• 経験豊富な専門医による検査
• 器具の徹底した洗浄と消毒

内視鏡検査にご不安がある場合も、お気軽にお問い合わせください。